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業務の引き継ぎ資料を作成するポイント

マニュアル活用による教育・研修

2021.03.30

業務の引き継ぎ資料を作成するポイント

異動や退職の際に、業務を後任に引き継ぐ場合は、引き継ぎ資料が必要になります。

単に業務内容を順番に書き出すだけ、と気楽に始めたものの、うまく進められず悩んでしまうこともあるかもしれません。今回は引き継ぎ資料作成を楽に進めるためのポイントや、作成の流れなどをご紹介します。

1. 引き継ぎ資料を作成するメリット

特に資料などを作成せずに、業務メモや口頭説明で引き継ぎを進める方法もありますが、引き継ぎ資料を作成することで様々なメリットがあります。

  • 正確に情報を伝えられ、確実に引き継ぎを行える
  • 必要なポイントを絞ることで、効率よく引き継ぎを行える
  • 業務マニュアルや教育資料など、他の資料との区別がはっきりする

退職や異動で忙しい中での資料作成は大変ですが、最後にご紹介するポイントを押さえれば効率よく資料を作成することができます。
せっかく作成するのですから、見やすく利用しやすい資料にしましょう。

2. 引き継ぎ資料の目的、役割

多くの職場で引き継ぎのための資料を作成しているのには、理由があります。そもそもなぜ引き継ぎ資料が必要なのか、資料を作成する目的をあらためて確認してみましょう。

後任が業務を始められるようにする

引き継ぎ資料に求められる最低限の役割として、後任が業務を行うための基本的な情報や連絡先・守るべきルールを伝え、業務を始められるようにすることがあります。

後任がベテランか新人か、どのような経歴をもつかなどで異なりますが、業務ツールの初歩的な説明や業務ルールなどをまとめておくことで、業務をスムーズに始められます。引き継いだばかりの時期にやってしまいがちなミスなどを伝えることも、後任の役に立ちます。

業務の生産性を向上させる

後任が経験豊富で社内にマニュアルが充実していれば、基本的な説明だけですぐに業務を行えるようになるかもしれません。その場合でも、状況に応じて作業手順を入れ替えたり、より効率よく業務を行える自分なりの経験則やテクニックを伝えることで、後任の助けになることができます。

また業務に慣れた頃に、つい手を抜いてしまったりすることで起こりがちなミスを、経験談を添えて残しておくことも重要です。

問題解決を助ける

対応が必要なイベントや、発生しやすいトラブルとその対処法をリストアップしておくことで、素早く正確に対策を行い業務を正常な状態に戻せます。

また、状況が複雑すぎて対応できない、トラブルの影響が大きすぎる場合など、自分で判断せず周囲に相談すべきことを書いておくと、責任の範囲が明らかになり結果的に資料への信頼が高まります。

3. 引き継ぎ資料作成のポイント

引き継ぎ資料を作成するために、押さえておくとよいポイントをまとめました。以下をチェックして、効果的な資料を作成しましょう。

まずは、業務全体のイメージを伝える

説明すべき内容を考える前に、業務全体をどのように言い表せば業務内容の理解がしやすくなるかを考えましょう。仕事の目的を具体的に言い表し、業務全体の流れを図やイラストで表現することを検討しましょう。

業務全体のイメージ

業務の種類によって、まとめ方を工夫する

業務には大きく分けて、一定周期で決まった作業を繰り返すルーチン型と、都度対応が必要なイベントを起点に作業を行うイベント型とがあります。

ルーチン型であれば一週間/一か月などのスケジュールに沿った作業を洗い出し、時系列やカテゴリなどでまとめます。スケジュール表の形式でまとめるとさらに見やすくなります。
イベント型なら、想定される状況や関係先、作業の規模などでまとめます。時間の経過により状況が変化する場合は、業務フロー図などを活用します。

業務の種類 作業の特徴
ルーチン型 決まった作業を繰り返す
作業が手順化されている
作業の担当者が明確化されている
イベント型 イベントを起点として作業を行う
状況により作業内容が変化する
時間の経過により状況が変化する
他との重複を気にしすぎず、業務を項目内にまとめる

まとめ方が決まったら、伝えるべき内容を説明項目としてまとめます。着手してから作業を完了するまでの作業内容を追加していき、ひとまとまりにします。

社内マニュアルや他のルール集と重なる部分があっても、その説明項目の内容だけで作業を行えるようにします。そうすることで、後任が色々な資料をひもとかずに済み、自分用に新しい資料を作る必要がなくなります。
ただし、十分な引き継ぎ期間が無い場合は内容を最低限に抑え、詳細は社内マニュアルなどの資料を参照させるようにしましょう。