TIPS
マニュアル文章の品質向上術
2023.05.02
せっかく作った手順書やマニュアルが伝わりにくいのはなぜでしょうか。
自分の手から離れて独り歩きしてほしかった手順書やマニュアル。
その説明をさらにしなくてはならない、といった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
その文章、正しく伝わっていますか。
少しのコツで、分かりやすさは格段にアップします。
⽂章校正=リライトのTIPSを取り上げる、連載シリーズ第4回をお送りします。
今回は読み手に致命的な影響を及ぼしかねない安危文についてのご紹介です。
【本シリーズのバックナンバーはこちら】
CONTENTS
次の例題の文章は、やや問題があると思われる文章です。
上記は業務マニュアル内で作業フローを示した文章の一例です。
作業フローの内容として特別複雑だというわけではありません。
しかしながら、万が一作業を失敗した場合「重大な人身事故につながる」と記載されています。
こういった文章はマニュアルにおいて「安危文」と呼ばれており、特に注意してライティングする必要のある文章です。
実際の⼿順書やマニュアルでも、読み手に的確に情報が伝わらなかった場合、致命的な事故などにつながってしまうからです。
次のステップを踏んで、伝わる文章にリライトしてみましょう。
ステップ1
原文の問題点に共通する「修正ポイント事項」とは何か、挙げましょう(複数あれば箇条書き)。
ステップ2
「修正ポイント事項」をクリアした文章をリライト例として考えてみましょう。
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少し考えてみてください。
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以下は、弊社で行われた初心者向けリライト講座の受講メンバー(非ライター)から挙がった「修正ポイント事項」です。
他にもメンバーからさまざまな意見が出ましたが、気を付けなければならない「修正ポイント事項」をまとめると次のようになります。
ステップ1
「修正ポイント事項」解答例です。
リライトには、必ずやらないと解釈に迷いが⽣まれたり、意味を読み解くことができなかったりといったことが起こるマスト(must)の修正と、より読み解きやすくするためのベター(better)の修正があります。
本来の主題「主軸の回転が停止していることを確認する」ことを明示します。
注意喚起・警告のタイトルを設け、一目で安危文と分かるようにします。
また、「してはいけないこと」を明確化し、短文で言い切るとより警告内容が伝わりやすくなるでしょう。
視覚的に複数の方法を用いて重要部分が目に入りやすくなるようにすることも大切です(ここでは、ピクトグラム・危険を表す赤色などの方法を用いました)。
今回は手順の伝わりやすさだけでなく、読み手に致命的な影響を及ぼしかねない「安危文」についてお話ししました。
せっかく作る手順書やマニュアル。少しのコツで分かりやすさが格段にアップすることをご理解いただけましたら幸いです。
本連載は今回が最後となります。バックナンバーもぜひご覧ください。