TIPS
マニュアル文章の品質向上術
2020.02.20
せっかく作った手順書やマニュアルが伝わりにくいのはなぜでしょうか。
自分の手から離れて独り歩きしてほしかった手順書やマニュアル。
その説明をさらにしなくてはならない、といった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
その文章、正しく伝わっていますか。
少しのコツで、分かりやすさは格段にアップします。
⽂章校正=リライトのTIPSを取り上げる、連載シリーズ第2回をお送りします。
【本シリーズのバックナンバーはこちら】
CONTENTS
次の例題の文章は、やや問題があると思われる文章です。
すんなりと読み進められそうでしょうか。
どこにでもありそうな⽂章ではありますが、
理解するまでに何度か⽂章を読み直すことになりそうではないでしょうか。
実際の⼿順書やマニュアルでもこのようにすんなりと読み進められない⽂章があると、読み⼿の理解が遅くなります。
すんなりと読み進められない理由は何でしょうか。
次のステップを踏んで、伝わる文章にリライトしてみましょう。
ステップ1
原文の問題点を「修正ポイント事項」として箇条書きで挙げましょう。
ステップ2
「修正ポイント事項」をクリアした文章をリライト例として考えてみましょう。
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前回「その⽂章、正しく伝わっていますか(1)」で⽤いた例題と類似の「修正ポイント事項」を含む例題になっているので、前回をご覧になったかたは「修正ポイント事項」を挙げやすくなっているかと思います。
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以下は、監修講師が主催している初心者向けリライト講座の受講メンバー(非ライター)から挙がった「修正ポイント事項」です。
このように、メンバーからもさまざまな意見が出ました。
いかがでしょうか。
ステップ1
「修正ポイント事項」解答例です。
係り受けが曖昧で、何と何が並列関係なのか特定できない。
並列関係にあると解釈できるパターンが複数あり、読み⼿に迷いが⽣まれたり、伝え⼿の意図と異なってしまったりする可能性があります。
並列関係にあると解釈できるパターンは、下記の4パターンあります。
【語句を並列するときに⼀般的なルール】
例えば
の場合であれば、短い語句同⼠で並列関係がはっきりしているためOK(○○・◎◎のかたち)。
※鍵括弧「」で囲むことで「関連する項⽬」は1語と認識されます。
■「関連する項⽬」という語の問題点
一般語ではなく固有の名称のため、修飾語が必要。
「各ページの」という説明の修飾語がつきます。
■並列関係の誤認を防ぐために語順を変える
とした場合、
のような並列関係が⽣じてしまいます。並列関係が曖昧になることは、並列するもの同⼠の形が違う場合に起こりがちです。これを避けるには、語順を変えて
とすれば、⼀般的に⽬次は各ページにはないということは明らかなため、「各ページ」は関連情報にだけかかり、「関連する項⽬」・⽬次・索引の3者は並列関係となります。
このように、単語と句を並べる場合は、句を先に置くと係り受けの混乱がなくなります。
リライトには、必ずやらないと解釈に迷いが生まれたり、意味を読み解くことができなかったりといったことが起こるマスト(must)の修正と、より読み解きやすくするためのベター(better)の修正があります。
「それぞれ」を⼊れることで「各ページの『関連する項⽬』」・「⽬次」・「索引」の3つの句の並列関係も、よりクリアになりました。
せっかく作る手順書やマニュアル。少しのコツで分かりやすさが格段にアップすることがご理解いただけたのではないでしょうか。
この連載はシリーズでお届けしていきます。次回をお楽しみに。